薬の飲み方「食間」っていつ? 間違えたらどうなる?【薬剤師に聞く】実は知らない「薬の正しい飲みかた」 – 文・かえでら実子 | anan Beauty+

Wellness

薬を処方されると、必ずいつ飲めばいいか指示があると思います。なぜそのような決まりがあるのでしょうか? また、そのタイミングを絶対に守らなければいけないのでしょうか。現役薬剤師のかえでら実子さんに、なぜ薬を飲むタイミングを指示されるのか、またそのタイミングを逃してしまったりした時はどうすればよいかを教えてもらいました。

薬を飲むタイミング、困ったことはありませんか?

暖冬といわれている今シーズンの冬ですが、それでもぐっと冷え込む日もあり、風邪をひいたりおなかの調子が悪くなったりと、体調を崩してしまっているかたもいらっしゃるのではないでしょうか。つらい症状を改善するため病院を受診すると、薬が処方されることが多いと思います。薬を受け取りに行った先の薬剤師から効果や飲みかたを説明されたあと、自宅で「しんどいしすぐ飲んでしまいたいけど…食後って言われたからそれまで待つべき? でも待ってられない!」と困ってしまった経験、ありませんか?

用法通りに飲めれば問題ありませんが、いつもその通りにできるとは限りませんよね。そこで今回は、なぜ食後や食前など、飲むタイミングが決まっているのか、指示通りに飲めない時はどうすればよいのか、薬の飲みかたについて紹介していきたいと思います。

まずは、大まかな表にまとめてみました。

【図解】薬を飲むタイミング

では、ひとつずつ詳しく解説していきます。

食前に飲む薬について

食前とは食事を摂る30分前、胃の中に食べ物が入っていないタイミングのことです。食前に服用する理由として、胃の中に食べ物がないほうが薬の吸収がいい、食事による胃酸分泌の影響を受けたくない、胃の粘膜にくっつくことにより効果がでる、などがあります。

とくに漢方薬は食前に飲むよう指示されていることが多いかと思います。これは、漢方薬は食事の影響を受けずに小腸まで届くことで腸内細菌により吸収されやすくなる、という特性があるためです。胃が弱いかたや、胃に負担をかけないほうがいい場合は食後で処方されることもありますが、食後に飲んでも効果が著しく低下することはないのでご安心ください。

食後に飲む薬について

食後の場合、飲むタイミングは食事を摂ったあと30分以内です。食事をすると十二指腸から胆汁酸という液が分泌され消化吸収がされやすくなり、薬の効果が上がります。これが食後に飲むよう指定される大きな理由です。

また、空腹時に飲むと胃を荒らしてしまう薬もあります。特に、痛みを感じる時や熱がある時などに服用する薬は、頓服で飲む場合もなるべくなにか胃に入れたあとのほうが良いでしょう。もし食事を摂るのが難しい時は、多めの水で飲むようにしてください。

薬は一般的に食後服用の指示であることが多いかと思いますが、効果向上の理由のほかに、食後が一番飲み忘れが少ないからということもあります。なので、必ずしも食後でなくても大丈夫な場合もあります。仕事の都合や生活スタイルなどで食後に飲むことが難しい時は、薬剤師に相談してみてくださいね!

食間に飲む薬について

食前と似たような服用タイミングで食間があります。ときどき食事をとっている間に飲むことだと思われているかたがいらっしゃいますが、そうではなく、食事のあと2〜3時間後、食事と食事の間に飲むのが正しい飲みかたです。

胃に食べ物がないほうが効果が高い場合に指示されることが多く、漢方や胃の粘膜を保護したり修復する効果のある薬が代表的です。

食前と食間は、つまるところどちらも空腹時に飲む、ということです。しかし、食前に飲むよう指示される薬は食前ではないと薬の効果が出にくい、また食後では副作用が出てしまうということが考慮されている場合があります。安易にお腹がすいているならどっちでもいいのでは? と飲みかたを変えることはしないようにしましょう。

就寝前に飲む薬について

布団に入る30分前に飲んでください。睡眠導入剤や下剤といった薬は、効果がでる時間をふまえて寝る前に飲むよう指示されています。必ず飲むタイミングを守るようにしましょう。食事の影響を受けたくない薬や、眠気がでる薬のため日中飲まないほうが望ましい場合も、寝る前の服用を指示されることがあります。どうしても寝る前に飲むことができない場合は、服用タイミングをずらすことが可能な場合もあるので薬剤師にご相談ください。

迷った時は自己判断せずに薬剤師に

市販の薬を服用する機会の多い風邪薬は食後に飲むよう指示されていることが多いですが、熱が高くて食欲がない時でも薬を飲むことは可能なことが多いです。「まだ飲むタイミングがきてないけど服用したらダメかな…」「タイミングじゃない時に薬を飲んでしまったけど大丈夫かな…」などと悩む前に、ぜひお近くのドラッグストアで薬剤師に相談してくださいね。

<筆者情報>

かえでら実子さん

某薬科大学卒業後、ドラッグストアや調剤薬局に勤務し、調剤業務や在宅医療に携わる。趣味は美容とイラスト。現在ネイルの勉強中で、ネイリスト検定3級を所持。

文・かえでら実子

https://plus.ananweb.jp/wellness/95273/

タイトルとURLをコピーしました