新年を迎えた1月は、気持ちを新たに何か新しいことを始めようと思っている人も多いことでしょう。ですが、新年早々体調を崩してしまう人も少なくありません。今回は、1月に起こりやすい体調不良の原因と対策について、女医の筆者がお話していきます。最適なセルフケアで、素敵な新年を過ごせるように工夫してみましょう。
1月に起こりやすい体調不良とその原因
食生活の乱れ
年末年始は、親戚や友人と集まる機会が増え、何かと食べすぎてしまう方も多いのではないでしょうか。食事の内容も、甘いものや脂っこいものなどが多くなりやすく、偏った食事になりがちです。甘いものを食べすぎると血糖値が上がり、太る・食後にだるくなる・喉が渇くといった不調が起こりやすくなります。また、脂っこいものを食べると胃がもたれたり、下痢を引き起こすことも…。
宴会などで夜遅くまで飲み食いしてからすぐ寝ると、胃の中に食べ物が残ったまま朝を迎えてしまい、翌朝に胃もたれしたり、胸焼けを起こすリスクも高まってしまうのです。
睡眠リズムの乱れ
年末年始は夜更かしや朝寝坊をする方も多いでしょう。睡眠リズムが崩れることで自律神経の乱れにつながり、疲労感や集中力の低下を引き起こしてしまいます。また、免疫力の低下にもつながることから、風邪をひきやすくなってしまうことも考えられます。
寒さによる影響
1月は寒さが厳しく、体温調節が難しくなります。これもまた、自律神経の乱れにつながることから、免疫力が低下して風邪を引きやすくなります。また、寒いと無意識に筋肉が緊張してしまうことから、肩こりや腰痛につながることもあるでしょう。
アルコール飲料の飲みすぎ
新年会などの集まりでお酒を飲みすぎると、肝臓への負担や脱水を引き起こし、体調不良の原因となります。特に正月シーズンは酔って転倒したり、怪我をする人が増えるので飲みすぎには気をつけたいですね。
また、アルコールの飲みすぎは下痢を起こすことがあります(※1)。アルコールを飲みすぎた後にみぞおちから背中にかけて痛くなった場合も、要注意! 急性膵炎の可能性がありますので注意してください。多量にアルコールを摂取した後にこのような痛みがでてきた場合、早めに病院を受診するのがよいでしょう。
免疫力の低下による体調不良、感染症
冬は寒さと空気の乾燥に加えて、日照時間が短い季節。そのため、日光に当たることで合成されるビタミンDが不足しがちになると考えられています。ビタミンDの低下は免疫力低下につながるため、風邪やインフルエンザ、新型コロナウイルスなどの感染症にも気をつけましょう。
体調不良を防ぐための対策
体を冷やさない
外出時には帽子やマフラー、手袋などの防寒小物を活用し、体を冷やさないようにしましょう。体を内側から温めるために、白湯、生姜湯、ハーブティといった温かい飲み物を摂取するのもいいですね。
こまめなうがい、手洗い
うがい手洗いは基本の感染対策ですが、鼻うがいも一緒に行うとより効果的です。外出した後などのタイミングでぜひ積極的に行ってみてください。
また、冬は水分摂取量が減りがちです。喉の乾燥をふせぐためにも、こまめに水分を摂るようにしましょう。
栄養バランスのよい食事をとる
免疫力をアップするためには、ビタミンDの摂取がおすすめです。ビタミンDを多く含む食事として、サケ、サンマ、イワシなどが挙げられます。魚が苦手な方は、サプリメントでの摂取もおすすめ。
また、飲酒をした前後は、ビタミンB群やBCAAを中心としたアミノ酸を含む食品で栄養を補給しましょう。特にビタミンB1や、ナイアシンとも呼ばれるビタミンB3(※2)は、アルコール代謝を促進し悪酔いを防ぐ作用が期待できます。また、BCAAを中心としたアミノ酸は、肝臓の代謝を助けると言われています。
十分な睡眠をとる
寝る2~3時間前に、浴槽にしっかりつかって体を温めることで、睡眠の質がよくなると考えられます。寒くて朝なかなか起きられない方は、エアコンなどを上手に利用して部屋を温めておくようにするといいですね。
まとめ
新年早々体調を崩してしまうという方もいらっしゃいますが、適切な対策を取ることで、体調を整えることができます。新年の宴会なども楽しみつつ、感染症に負けない生活習慣を身につけることで、体調を崩すことなく快適な新年を過ごすことができるはず。今回紹介した内容を意識しつつ、健やかな体で1年のスタートを切りましょう。
【参考】
※1 厚生労働省.e-ヘルスネット アルコールの消化管への影響
※2 厚生労働省.e-ヘルスネット ビタミン
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筆者情報
ママ女医ちえこ(産婦人科医)
産婦人科専門医であり、プライベートでは4人の子どもを育てる母。2020年からはYouTuberとしても活躍し、性教育としての医学情報や健康情報を中心に、女性が自分の体について考えるきっかけになる専門性を生かした情報を発信。現在のチャンネル登録者数は15万人を超える。著書に『子宮にいいこと大全 産婦人科医が教える、オトナ女子のセルフケア』(KADOKAWA)、『医師がすすめる エビデンスベースの「体にいい」食習慣』(クロスメディア・パブリッシング(インプレス))がある。
YouTube:https://www.youtube.com/c/mama女医ちえこ
産婦人科専門医/ママ女医ちえこ