夏に旬を迎えるきゅうりは、一年を通して安価で手に入りやすい食材です。サラダや漬物などによく使っている人もいるでしょう。しかし、きゅうりの食べ方や調理方法には注意が必要なケースもあります。今回は管理栄養士の筆者が、きゅうりのNGな食べ方や、きゅうりに含まれる栄養価について詳しく解説します。
きゅうりに含まれる栄養素
代表的な夏野菜であるきゅうりは、水分が多くカロリーが低い野菜です。きゅうりにどのような栄養素が含まれているかは、あまり知られていないかもしれませんね。きゅうりに含まれている主な栄養素と、それぞれの健康効果について詳しく説明します。
カリウム
きゅうりに多く含まれているカリウムは、体内の水分バランスを調整してくれるミネラルです。むくみ予防の効果が期待されているため、塩分を多く摂ったときに補給したい栄養素と言えます(※1)。
ビタミンC
ビタミンCはコラーゲン合成を助ける栄養素で、肌の健康のために欠かせません。また、鉄の吸収を助けたり免疫力をアップさせたりとさまざまな役割を持っているとされます(※2)。ビタミンCは水に溶けやすく熱に弱いとされるため、きゅうりはなるべく水にさらさず生で食べるとよいでしょう。
ビタミンK
ビタミンKは油に溶けやすい脂溶性ビタミンの一つです。怪我で出血したときの血液凝固を助ける働きがあるとされます。また、カルシウムの沈着を促して骨を丈夫にする役割もある重要な栄養素です(※3)。
食物繊維
きゅうりには食物繊維も含まれています。食物繊維は腸内環境を整えることから、便秘の予防効果が期待されます。また、血中コレステロールや血糖値の上昇をゆるやかにしてくれるため、生活習慣病が気になる方にもぜひ摂っていただきたい栄養素です(※4)。
きゅうりのNG食べ方
きゅうりには健康にうれしい栄養素が含まれていますが、食べ方によっては健康に悪影響をおよぼす可能性もあります。ここからはきゅうりのNGな食べ方を解説します。
きゅうりの食べすぎはNG
きゅうりは低カロリーですが、カリウムや水分が多いため、お腹がゆるくなったり胃腸に負担をかけたりする可能性もあります。きゅうりの適量は特に決められていませんが、ほかの野菜を組み合わせた場合の適量として1日1~2本までがよいでしょう。
冷たいきゅうりばかり食べるのはNG
冷やしきゅうりやサラダなど、夏は冷たいきゅうりがおいしいですよね。でも、水分が多く冷たいきゅうりばかり食べると胃腸の調子を悪くし、便秘や下痢を引き起こす可能性もあります。温かい飲み物や汁物なども摂るようにしましょう。
塩分の摂りすぎに注意
きゅうりは漬物や塩もみなど、塩分を多く使う調理方法も多いですよね。きゅうりに含まれるカリウムは塩分を排出してくれますが、それでも過剰に塩分を摂りすぎた場合は高血圧やむくみの要因となる可能性があるため、注意が必要です(※5)。
脂質の摂りすぎに注意
きゅうりにマヨネーズやドレッシングをつける人もいるでしょう。きゅうりそのものは低カロリーですが、マヨネーズなどをたくさんつけるとカロリーや脂質の摂りすぎにつながる場合も。調味料を使いすぎないように気を付けましょう。
きゅうりは適量を楽しみましょう
夏野菜の定番であるきゅうりは、さまざまな栄養素を含み、低カロリーでダイエットにもおすすめの食材です。しかし、食べすぎるとさまざまな不調をまねく可能性もあります。野菜はきゅうりだけに偏らず、バランスよく食事に取り入れることが大切です。味付けや調理方法にも気を付けて健康的に楽しみましょう。
【参考】
※1 厚生労働省.e-ヘルスネット カリウム
※2 厚生労働省.e-ヘルスネット 鉄
※3 厚生労働省.e-ヘルスネット 骨粗鬆症の予防ための食生活
※4 厚生労働省.e-ヘルスネット 食物繊維の必要性と健康
※5 厚生労働省.e-ヘルスネット ナトリウム
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筆者情報
寺内麻美
管理栄養士を取得後、病院での給食や栄養管理、クリニックで生活習慣病予防のための食事指導に携わる。現在はダイエットサポートやレシピ制作、根拠のあるデータをもとに食や健康コラムの執筆などを行なっている。
文/管理栄養士・寺内麻美