普段、ベッドで寝ているという人は、朝起きたときに疲れが残っていたり、まだ寝足りないと感じた経験はありませんか? マットレスがカラダに合っていない可能性も。今回は整形外科医にマットレスの改善方法や選び方を教わります。
70%の人が自分のカラダに合ったマットレスの選び方がわからない
マットレスで有名なメーカー「ZINUS(ジヌス)」の日本法人ZINUS JAPANが全国の20代~60代の男女600名を対象に行った調査によると、70%の人が「自分の身体に合ったマットレスの選び方がわからない」と回答、29%の人が「現在使用しているベッドは身体に合っていない」と感じていました。
確かに、マットレスが自分に合っているかどうかは自分では判断しにくいものです。でも、毎日の睡眠の妨げになる恐れもあると整形外科医の富和清訓さんはいいます。
そこで今回は、富和さんに、 睡眠を改善する ために自分に合ったマットレスを選ぶ方法を教えていただきました。
いま使っているマットレスは合ってる? 確認方法は?
ーーマットレスが自分に合っていないと、睡眠にどんな影響が出てしまいますか?
富和さん マットレスはカラダを支える寝具であるため、睡眠時の姿勢に大きく影響を与えます。うまく作用していないと、起床時の目覚め、疲労回復感、ぐっすり寝ることができたという熟眠感に悪影響が出てくる可能性があります。また夜中に何度も途中で目が覚めてしまったり、寝つくまでの時間が長くなることがあれば精神的な健康にも悪影響を及ぼしてしまいます。
ーーマットレスが合っていないと、どんな症状が出るのでしょうか?
富和さん 覚醒時に腰痛があったり起床時にカラダの痛み、熟眠感の消失などがみられます。睡眠中、強くカラダに力を入れなければならないことがあれば休息になりません。また何度も寝返りを行いますが、そのたびにカラダに負担が強いられるようではむしろ疲労を生じさせる時間にもなりかねません。
ーー今、使っているマットレスが合っているかどうか、チェックする方法を教えてください。
1. ベッド上で楽にゴロゴロできるか
富和さん まず、寝返りが簡単にできるかどうかです。かたすぎたり、やわらかすぎたりして違和感があるなら合っていない可能性があります。
寝返りをまったくせずに睡眠することはまずありえません。眠っている最中に寝返りを自然にできて、寝返りをしたことを覚えていないというのが理想的です。
2. 背骨が「への字」や「逆への字」になっていないか
富和さん 仰向けや横向けで寝た際に、背骨が「への字」になるようなマットレスだとかたすぎて、「逆への字」になるマットレスだとやわらかすぎます。背骨は、ウエスト部分からヒップにかけてカーブを描いており、寝たときに頭からヒップにかけてのラインを支える背骨がフィットし、安静状態でいられるようなかたさのマットレスが理想的とされているのです。
よい睡眠のための改善策
ーーいま使っているマットレスが合わないときの改善策として、マットレスを買い換えずにできる工夫を教えてください。
1. マットレスの位置を変えてローテーション
富和さん 現在、使用しているマットレスをすぐ交換するのがむずかしい場合、マットレスのローテーションがよい効果を生み出すこともあります。どんな丈夫なマットレスでも、長年使い続けていると、同じ場所ばかりに荷重がかかってしまい、特定の部分にヘタリが生じている恐れもあります。その場合、前後・表裏に位置を変えてローテーションすればある程度対策となるでしょう。ただし、両面仕様であるかどうかは確認のうえおこなってください。
2. マットレスの上にパッドやストッパーを敷く
富和さん マットレスパッドやマットレストッパーをマットレスの上に敷いてみるのも一つの方法です。マットレスの沈み込みが強い場合には、バスタオルをマットレスとカラダの間に敷いたり、腹巻のように身にまとったりするのもよいです。
とはいえ、マットレスそのものが消耗品であるということを忘れてはいけません。また使用者の体型や、マットレスの上で立ったりすると思いのほか早く寿命を迎えてしまうこともあります。またマットレスだけでなく頚(けい)部や頭部を支えてくれる枕も検討の余地があるでしょう。
店頭で寝てみるのがおすすめ! マットレスの理想的な選び方
ーーマットレスを購入するとき、どのように選ぶとよいですか?
富和さん 実際に店頭で横になったり、ベッドマットメーカーのお試しレンタルやサブスクリプションサービスなどを利用して、使用感や睡眠姿勢をデジタルカメラで撮影し、簡易的に姿勢が「への字」や「逆への字」になっていないか確認してみるのもよいでしょう。
ーーライターが調査したところ、「CLAS」という家具・家電のレンタル・サブスクサービスがZINUSと提携し、低反発マットレス(シングル、セミダブル、ダブル)のレンタルを始めたそうです。
またZINUS JAPANでは2024年4月29日(金)まで東京・銀座のショールームで「ZINUS POPUP SHOWROOM GINZA」を開催しており、「体圧分散測定器」の体験ができます。実際にベッドに横になり、自分のカラダの圧力バランス(体圧)をチェックすることで、自分のカラダに合ったベッドマットを見定められる測定とアドバイスが受けられます。
「マットレスが合っていないかもしれない」と不安な人は、試しに足を運んでみるのもよいのでは。
「体圧分散測定器」の体験ブースの様子 ©ZINUS JAPAN
マットレスが合っているかどうかのチェック方法や改善方法、選び方を教えていただきました。ぜひ一度、マットレスと自分のカラダとの相性を確認して、よい睡眠を目指しましょう。
Information
<教えてくれた人>
富和 清訓(とみわ・きよのり)さん
整形外科医。社会医療法人田北会 田北病院整形外科。岩手医科大学医学部医学科卒。医学博士、日本整形外科学会専門医、日本DMAT医師、日本スポーツ協会公認スポーツドクター、産業医。
<筆者情報>
椎原茜
ライター。記事を通して、読者の方々に役立つ情報を知ってもらい、ハッピーかつ快適な生活を送っていただきたいという思いで執筆中。
【参考】新生活に向けてベッドを新調する方、必見!【医師監修】腰痛、ヘタり、湿気…失敗しないベッド選びの注意点知っていますか? 正しいマットレスの選び方 ‐PR TIMES
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文・椎原茜