寒い季節は、温かい布団にくるまって眠りにつくのが楽しみでもありますよね。でも、寒さのせいで睡眠の質が低下してしまい、リラックスできるはずの睡眠によって、逆に疲労感を感じてしまうこともあります。そこで今回は、女医の筆者が実践する「冬の快眠方法」についてお話していきます。
睡眠の質とは?
寒さで血行が悪くなりやすい冬は、肉体的にも精神的にもパフォーマンスが落ちやすい季節と言えます。寒くなると、体から熱を逃さないようにするために無意識に力が入ってしまい、筋肉が緊張しがち。そのため寒いだけで疲れやすくなり、血行も悪くなってしまうと考えられるのです。
良質な睡眠をとることができれば効率よく疲労を回復できるほか、日中のパフォーマンス向上に直結し、健康の維持にもつながるでしょう。
寒い冬に起こる睡眠の問題点
寒いとき、体は熱を保とうとするため、睡眠中の体温調節が難しくなります。これが、寝つきが悪くなったり、夜中に何度も目が覚めたりする原因と考えられます。また、冬は日照時間の短さが自律神経の乱れを引き起こすことも。人は光を浴びることで体内時計を調整するようにできていますが(※1)、冬は日照時間が短くなるので、朝起きて十分な日光を浴びることができない場合もあります。
そのため、なるべく朝はカーテンを開けて部屋に日光をとり入れるようにしています。日中にお散歩するのもいいですね。日中にどうしてもお部屋が明るくなりにくい場合は、明るい照明を使用するなど工夫してみてください。
冬の快眠のための具体的な方法
適切な室温と湿度の確保
寝室を温めるために暖房器具を使うと思いますが、暖房器具によって乾燥が進んでしまう場合があります。そもそも冬は乾燥しやすい季節でもあり、睡眠環境を整えるために湿度を保つことも大切です。筆者も加湿器を使用し、適切な湿度を維持するように意識しています。加湿器を使う際は、内部にカビが生えないようこまめに掃除することも大切なポイント。
また、起床時に気温が低すぎると快適に目覚めるのが難しくなります。寒い日の朝に布団から出るのが辛い人は、起床時間の1時間前に暖房がつくようにタイマーを設定しておくのもいいでしょう。
暖かい飲み物の活用
就寝前にホットミルクやカモミールティーを飲み、体を内側から温めるのもおすすめです。温かい飲み物を飲むことで体がリラックスし、副交感神経が優位な状態に導きやすくなることも。冷えが気になる人は、生姜湯など温め作用があるものもいいですね。お酒は一時的に入眠しやすくなりますが、眠りの質を下げてしまうため避けたほうがいいでしょう。
厚着を避ける
冬季は手足が冷えやすくなるため、体を温めようとして厚手の布団を使ったり、厚着をしたりする人も多くいるでしょう。こうした寒さ対策は大切ですが、着込みすぎると熱がこもりやすくなり、睡眠の質の低下につながってしまうことも。また、厚着しすぎると体の動きが妨げられるため、スムーズに寝返りをうつのが難しくなることも考えられます。
入眠前は、入浴で体温を温めて眠りやすいようにコンディションを整えるといいでしょう。パジャマや寝具は暖かさだけを重視するのではなく、パジャマは湿気がこもりにくい速乾性素材、寝具は吸湿性のあるものを選ぶと、寝汗をかいても不快になりにくいのでおすすめですよ。
睡眠の質を高めるためのライフスタイルの工夫
【日中の適度な運動】
日中に適度な運動をするとほどよい疲労を感じることができ、夜の睡眠の質が向上するとされています。特に冬は寒さで血行が悪くなりやすいため、運動により血行を促進することは、疲労回復にも冷えの予防にも効果が期待できるでしょう。
【リラックスタイムの確保】
ストレスは睡眠の質を低下させる原因の一つと言えます。日中もストレスをためすぎないようにしつつ、寝る前にはリラックスできる時間を持つことが大切です。寝る前の時間はスマホやPC、テレビなどの強い光を避けて、音楽を聴いたり、ヨガやストレッチ、アロマ、読書などを楽しんだりと、ゆっくり過ごしてみてはいかがでしょうか。
睡眠環境の最適化
【寝具をより快適にする工夫】
冷えにくいようにするためには、寝る前に寝具を温めておくのもいいですね。布団乾燥機や湯たんぽ、電気毛布などを使って、布団に入る20~30分前から温めておくようにしています。布団乾燥機を使用すると、布団が暖まる上に湿気がとび、睡眠中の湿気をよく吸ってくれるなどのメリットもあり、おすすめですよ。
ただし、一晩中暖房器具を使用すると必要以上に熱くなってしまうことがあるため、入眠時だけ使用するなど、気温に合わせて調整してみてください。
適切な光環境
冬に限らず、睡眠時にはできる限り目に届く光を遮断するといいですね。遮光カーテンやアイマスクなどを活用して就寝前は暗い環境を作り、体内時計を調整しましょう。
おわりに
寒い冬も、これらの方法を取り入れることで質の高い睡眠が目指せるはず。日々の疲れをとるためにも快適な睡眠環境を整えて、健康的なライフスタイルを心がけましょう。
【参考】
※1 厚生労働省.e-ヘルスネット 体内時計
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筆者情報
ママ女医ちえこ(産婦人科医)
産婦人科専門医であり、プライベートでは4人の子どもを育てる母。2020年からはYouTuberとしても活躍し、性教育としての医学情報や健康情報を中心に、女性が自分の体について考えるきっかけになる専門性を生かした情報を発信。現在のチャンネル登録者数は15万人を超える。著書に『子宮にいいこと大全 産婦人科医が教える、オトナ女子のセルフケア』(KADOKAWA)、『医師がすすめる エビデンスベースの「体にいい」食習慣』(クロスメディア・パブリッシング(インプレス))がある。
YouTube:https://www.youtube.com/c/mama女医ちえこ
産婦人科専門医/ママ女医ちえこ