サンダルの季節になる前に、足爪の見た目にも気をくばりたいところ…。 美しい爪をつくるには、日頃からのケアが大事です。今回は、フットケアのスペシャリストである皮膚科医に「正しい爪の切り方」「爪切りの選び方」「爪の衛生ケア方法」「爪に関する病気の見分け方」について教えていただきます。白や黄色っぽい、欠けや分厚さなどが見られたら要注意です。
足爪に関するNG習慣
今回、お話をうかがったのはフットケアスペシャリストとして知られる皮膚科医の高山かおるさん。足爪の病気はもちろん、美しい足爪を作るケア方法にも通じています。まずは間違いがちな、足爪のNGケア方法を教えていただきました。
NG1. 爪の両端を斜めに深く切る
高山さん 爪の両端を斜めに深く切った「バイアス切り」は、斜めにカットされた先端から巻き爪になる恐れがあるのでおすすめしません。巻き爪とは、爪の先端が内側に巻いたように変形して、皮膚がはさまれてしまう状態です。
NG2. 爪を短く切りすぎる
高山さん 爪を短くしすぎると深爪となり、皮膚に爪が食い込んでしまう陥入爪や細菌感染症を起こす恐れがあります。
NG3. 不衛生なバスマットを家族で共有する
高山さん 通気性が悪く、蒸れた状態で放置されていたり、掃除をしない不衛生な状態に敷かれたバスマットを家族で共有していたりすると、足指や足爪が不衛生な状態となり、感染による病気リスクが高まります。
NG4. 年中、ネイルをしていて爪の異変に気付かない
高山さん ネイルをずっとしている若い方に多くみられますが、変色・変形などの爪の異変から足爪の病気の兆候に気づくことができず、放置してしまう恐れがあります。中には痛くもかゆくもない病気もあるので、なおさら気づかないのです。
足爪の正しいケア方法
ーー正しい足爪の切り方やケア方法を教えていただきましょう。
正しい足爪の切り方
出典:科研製薬主催「『爪の健康』に関するプレスセミナー」高山かおるさん登壇資料のイラストに編集部が追記
高山さん 爪の端から端まで、5回くらいに分けて切るとよいです。また爪の長さは非常に大切で、深爪にならないように、白い部分が1~2mm残る長さに切りましょう。
おすすめの足爪切りの選び方
高山さん 爪への負担が少ない、ニッパー型の爪切りがおすすめです。また爪ヤスリやガラス製の爪切りは爪周りの皮膚を傷つけにくいので、金属製の爪切りよりおすすめです。
正しい足爪の衛生ケア方法
高山さん 爪の周りには垢(あか)がたまりやすいので、毎日、足指や指間をやわらかい歯ブラシなどを使い、皮膚に傷が付かないように優しく丁寧に洗いましょう。また、洗い終わったらしっかりと乾燥させることが大切です。
毎日、同じ靴を履かないこと、湿った靴は乾燥させてから履くことも心がけましょう。
こんな爪になってない? 爪の病気の兆候セルフチェック
ーー爪の病気についても気になるところです。ネイルを取って、素爪の状態で病気の兆候をチェックしてみましょう。
爪の病気の兆候
白く濁っている
黄色っぽい
2mm以上になり、分厚い
筋状のものが出ている
高野豆腐のようにボロボロと崩れてくる
ガチガチに硬くなる
欠けている
高山さん これらの爪の病気の兆候が見られたら、「爪白癬(つめはくせん)」が疑われます。爪白癬は「白癬菌(はくせんきん)」というカビの一種が爪に感染することで起こる病気のこと。「爪水虫」とも呼ばれます。痛みやかゆみを伴わないことから、気づかず放置されることも多いのです。
いわゆる水虫(足白癬)を治療せずに放置したために、爪の中に菌が侵入し、発症する場合が多いです。
水虫があれば、まず水虫を早く治すこと。そして爪の治療をして、清潔に保ち乾燥させることが大事です。疑われれば皮膚科で診察してもらい、外用薬や内服薬で対処してください。
爪白癬は、年齢と罹患率が比例するため高齢者特有の病気だと思われがちですが、実はバスマットやスリッパ、じゅうたん、床などを通じて、子どもから大人まで、年齢・性別問わず感染しやすいことも特徴の一つです。若い方も注意してください。
ーー足爪のセルフケア方法や病気の発見・予防策を教えていただきました。サンダルが気持ちよく履けるように綺麗な足爪をキープしたいですね。
爪白癬が疑われるなら、周囲への感染を防ぐためにも、ぜひ早めに病院へ行きましょう。
Information
<教えてくれた人>
高山 かおる(たかやま・かおる)さん
埼玉県済生会川口総合病院 皮膚科主任部長。日本フットケア・足病医学会理事。フットケアのスペシャリスト。2015年4月より埼玉県済生会川口総合病院にて勤務し、足と爪のケア外来を立ち上げ、日々、爪切難民の診療等をおこなう。
<筆者情報>
椎原茜
ライター。記事を通して、読者の方々に役立つ情報を知ってもらい、ハッピーかつ快適な生活を送っていただきたいという思いで執筆中。
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文・椎原茜