睡眠不足を感じたり、日中に眠気が起こったりしたことはありませんか? 質のいい睡眠は、私たちの心と体の健康を維持するために重要とされています。そして、睡眠の質を上げるうえで大切な要素の一つが、食生活の見直しです。そこで今回は管理栄養士の筆者が、睡眠の質を左右する晩ご飯の摂り方について解説します。
睡眠不足はなぜよくないのか
日本人は、世界の中でも睡眠時間が短いと言われています。慢性的な睡眠不足は、眠気による注意力や判断力の低下による作業効率の低下をまねき、思わぬ事故につながる可能性も。また、睡眠不足は肥満の要因にもなり、高血圧や糖尿病などの生活習慣病リスクも増加するとされているのです(※1)。
睡眠は時間だけでなく質も大切であり、睡眠の問題を抱えていると精神にも影響を及ぼします。睡眠の質を上げ睡眠時間を確保することは、心と体の健康を維持し、生活の質を高めるために重要といえるでしょう。
睡眠の質を下げる「NG晩ご飯習慣」
寝る直前に食べる
寝る直前に夕食を摂ると、寝ている間にも消化活動が行われ睡眠を妨げてしまいます。そのため、夕食はできるだけ寝る3時間前までに済ませられるとよいでしょう。
また、夜遅くの食事で摂ったエネルギーは消費されにくいため体脂肪として蓄積されやすく、太りやすいとも言われています。夕食を食べすぎないように気を付けましょう(※2)。
脂質が多い食事
揚げ物や脂身の多い肉料理など、脂質が多い食事は消化に時間がかかり、睡眠の質を下げやすいと言われています。特に夕食の時間が遅くなる場合は、できる限り脂肪分が少なく、消化にいい食事を心がけましょう。うどん・白身魚・鮭・鶏むね肉・ささみ・繊維の少ない野菜などがおすすめ。また、よく噛んで食べることは消化をよくし、食べすぎ防止にもつながりますよ。
カフェインが入った飲み物
コーヒーや紅茶、緑茶やチョコレートなどに含まれているカフェインには覚醒作用があります。寝る前の3~4時間以内にカフェインを摂取すると、寝つきが悪くなったり、睡眠を浅くしたりする可能性があるため、控えたほうがよいでしょう。カフェインには利尿作用もあり、夜中に尿意で目覚めやすくもなります(※3)。
また、昼寝は午後の眠気を解消しやすくし、昼寝の前にカフェインを摂取すると目覚めがすっきりしやすいと言われています。昼寝は15分程度で十分とされているため(※4)、カフェイン入りの飲み物を飲む習慣がある人は、夕方までに摂るといいでしょう。
アルコールを毎晩飲む
「飲まないと眠れない」と、毎晩のようにアルコールを飲む習慣がある人は要注意。アルコールは寝付きをよくすることもありますが、睡眠の質は下がってしまいます。
アルコールを飲む場合の適量は、1日平均純アルコールで約20gまでが推奨されています(※5)。また、女性は男性に比べて一般的にアルコール分解速度が遅いため、男性よりも少ない量が適当と考えられています。
アルコールを飲まないと眠れないという人は、日中に体を動かしたり規則正しい生活を心がけたりと、日ごろの生活習慣を見直してみましょう。どうしても改善されなければ睡眠の専門医への相談も検討してみてください。
質のいい睡眠で生活の質を上げましょう
睡眠の質を向上させるためには、適度な運動や規則正しい生活習慣を心がけることに加え、晩ご飯の内容を見直すことも重要です。夜遅くの食事やカフェイン・アルコールの摂取を避け、消化にいい食事を取り入れることで、質のいい睡眠につながります。日々の食事選びが健康的な睡眠習慣の基盤となりますので、今回お伝えしたような適切な食事を心がけてみてくださいね。
【参考】
※1 厚生労働省.e-ヘルスネット 睡眠と生活習慣病との深い関係
※2 農林水産省.夜遅く食事をとるときは
※3 厚生労働省健康局.健康づくりのための睡眠指針2014
※4 厚生労働省.e-ヘルスネット 快眠と生活習慣
※5 厚生労働省.アルコール
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筆者情報
寺内麻美
管理栄養士を取得後、病院での給食や栄養管理、クリニックで生活習慣病予防のための食事指導に携わる。現在はダイエットサポートやレシピ制作、根拠のあるデータをもとに食や健康コラムの執筆などを行なっている。
文/管理栄養士・寺内麻美