暑さで食欲がないときには、冷たいものや麺類ばかり摂ってしまうという人もいるでしょう。しかし、食事が偏ると栄養不足や体力低下をまねき、夏バテを長引かせてしまう可能性もあります。そこで今回は管理栄養士の筆者が、夏バテのときに避けるべき食事とおすすめの食事について紹介します。
夏バテのときに避けたほうがいい食事・食材
暑くて食欲がわかないときでも、栄養不足を避けるために食事は摂っていただきたいものです。しかし、食べ方によってはさらに体調を悪化させる可能性も。夏バテのときに避けたほうがいい食事についてご紹介します。
脂質の多い食事
揚げ物や脂っこい肉料理など、脂肪分の多い食事は消化するのに時間がかかるため、胃腸に負担をかけます。夏バテのときはさらに体調を悪化させるおそれがあるため、なるべく避けましょう。
甘い飲み物
暑いからとスポーツドリンクや炭酸飲料など甘い飲み物をたくさん飲むと、血糖値が急上昇します。血糖値が高くなるとのどが渇くため、さらに甘い飲み物を飲んでしまうという悪循環をまねきます(※1)。
基本的には水やお茶などの無糖の飲み物で水分を補給し、熱中症のおそれがある場合にはスポーツドリンクなどをうまく活用しましょう。
刺激の強い食べ物や飲み物
夏場にカレーや辛い料理などをよく食べるという人もいるかもしれません。しかし、唐辛子や香辛料を多く使っている料理は胃腸に刺激を与えるため、夏バテ時には避けたほうがいいでしょう。
また、コーヒーやエナジードリンクなどカフェインを含む飲み物や、アルコールも胃腸に負担をかけやすいため、なるべく控えるのがベストです。
冷たい食べ物や飲み物の摂りすぎ
夏の定番であるそうめんやアイスなどは涼しく感じられますが、食べすぎると冷えによって胃腸の働きを低下させる可能性も。特に冷房の効いた部屋で冷たいものを食べるのは冷えすぎにつながります。常温の食べ物や温かいスープなども取り入れてみてください。
夏バテのときにおすすめの食事・食材
暑さで食欲がわかないときに、冷たいものやのど越しのいいそうめんなどを食べる機会が増える方もいるでしょう。しかし、偏った食事を続けていると体力の低下をまねく恐れがあるため、注意が必要です。そこで夏バテのときにおすすめしたい食事について解説します。
消化にいい食べ物
夏バテ時には胃の消化機能が弱っている場合もあります。おかゆやうどん、柔らかく煮た野菜スープなどは消化に良く、胃に優しいです。風邪をひいたときの食事をイメージして、消化にいい食事を心がけましょう。
タンパク質を含む食材
肉・魚・卵・大豆製品などに含まれているタンパク質は、筋力を維持するために重要な栄養素です。食欲がないとパンや麺類など炭水化物メインの食事で済ませがちですが、タンパク質もプラスするようにしましょう。
ビタミンB1を含む食材
ビタミンB1は糖質を体内でエネルギーに代えるために必要な栄養素です。不足すると疲れや食欲不振をまねく恐れもあります。ビタミンB1を多く含む食べ物は、豚肉・うなぎ・大豆製品・玄米や全粒粉パンなどの全粒穀物です。
香味野菜や酸味がある食材
大葉・生姜・みょうがなどの香味野菜は、暑いときでも食欲を増しやすい食材です。また、梅干しやレモンを使った料理、酢の物など酸味のある食事は食欲がないときでも食べやすいでしょう。食欲がわかないときは、ぜひこれらを食事に取り入れてみてください。
夏バテ対策には、食事選びが大切
夏バテや食欲不振のときには、栄養が不足しないようにバランスの取れた食事を心がけ、胃に優しい食べ物を選ぶことが大切です。冷たいものや刺激が強いもの、脂っこいものなど、胃腸に負担をかける食事は控えましょう。今回お伝えした食事の選び方を参考に、夏を健康的に乗り切ってくださいね。
【参考】
※1 厚生労働省.e-ヘルスネット 嗜好飲料(アルコール飲料を除く)
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筆者情報
寺内麻美
管理栄養士を取得後、病院での給食や栄養管理、クリニックで生活習慣病予防のための食事指導に携わる。現在はダイエットサポートやレシピ制作、根拠のあるデータをもとに食や健康コラムの執筆などを行なっている。
文/管理栄養士・寺内麻美