日ごろから便秘になりやすく悩んでいるという人もいるでしょう。毎日の食事や生活習慣が便秘の原因となることが多く、特に食習慣は重要な要素です。そこで今回は管理栄養士の筆者が、便秘になりやすい食習慣と便秘の予防につながる食事について解説します。便秘を予防して健康的な生活を送るためのヒントを見つけましょう。
便秘になりやすい食習慣
不規則な食生活
規則正しい食生活は、自律神経を整えて、排便が規則正しく行われることにもつながります(※1)。つまり不規則な食生活は腸の働きを乱し、便秘を引き起こす可能性があるということ。食事時間がバラバラであったり、夜遅くに食事をしたりと食事が不規則な場合は、なるべく時間を一定にするなどの工夫をしてみましょう。
水分不足
体内の水分が不足すると、便が硬くなってしまい排便しにくくなります(※1)。便をやわらかくして排便をスムーズにするために、こまめな水分補給を心がけましょう。特に、入浴中や寝ている間には無意識にたくさんの水分が失われています。入浴後や起床後は意識して水分を摂りましょう。
脂質やたんぱく質中心の食事
揚げ物や脂の多い肉ばかりなど、脂質・たんぱく質に偏った食事を続けていると、腸内の悪玉菌が増え、腸内環境を悪化させてしまいます(※2)。その結果、便秘をまねく可能性も。特定の食品に偏らずバランスよく摂り、腸内環境を整えることが大切です。
お菓子に偏った食生活
ふだん食事代わりにスナック菓子やドーナツなどのお菓子を食べているという人は注意が必要です。お菓子は一般的に食物繊維が少なく便のかさが減りやすいこと、糖分や脂肪分が多く腸内環境を悪化させることから、日常的に食べすぎていると便秘になりやすいのです。基本はしっかりと食事を摂ったうえで、お菓子類は気分転換として楽しみましょう。
極端な食事制限
ダイエットのために食事を制限したり、主食のごはんを極端に減らしたりすると便秘の要因となります。特にごはんには食物繊維や水分が多く含まれていることから、極度に制限すると便秘を引き起こす場合も。食事は制限しすぎずに適量を摂るようにしましょう。
便秘解消のために摂りたい栄養素や食品
善玉菌を含む食品
腸内環境を整える善玉菌であるビフィズス菌や、乳酸菌を含む食品を摂ることで、便秘予防や改善につながるといわれています。具体的な食品としては、ヨーグルト・納豆・みそ・漬物などの発酵食品を摂るとよいでしょう。
また、善玉菌は食品から摂っても腸内に住み着くことはないとされるため、毎日の食事に取り入れることがすすめられます(※2)。
食物繊維
食物繊維は便のかさを増やし、腸内環境を整える働きがあります。食物繊維が不足すると便秘になりやすく、多くの日本人は食物繊維が不足気味とされているため、積極的に摂ることが推奨されます。
食物繊維は野菜・海藻・きのこ・大豆製品などに含まれており、これらを食卓に取り入れるといいでしょう。ごはんやパン、麺類などの主食にも食物繊維は多く含まれています。主食を玄米ごはん・麦ごはん・全粒小麦パン・そばなどに置き換えると、効率的に食物繊維が摂れますよ(※3)。
オリゴ糖
オリゴ糖は腸内で善玉菌のエサとなり、善玉菌を増やしてくれる働きがあります。腸内環境を整えて便秘の改善を促してくれるため、食事から補給できるとよいでしょう。オリゴ糖は玉ねぎ・アスパラガス・バナナ・大豆・ごぼう・にんにくなどに多く含まれています(※2)。
食習慣を工夫して便秘を予防しましょう
便秘を予防するためには、日々の食習慣を見直すことが重要です。不規則な食事や偏った食事は便秘をまねく要因となり、健康を損なう可能性もあります。腸内の善玉菌を増やし、悪玉菌を増やさない食事を心がけることで便秘を予防・改善が目指せます。今回お伝えしたような健康的な生活習慣を取り入れて、腸内環境を整えましょう。
【参考】
※1 厚生労働省.e-ヘルスネット 便秘と食習慣
※2 厚生労働省.e-ヘルスネット 腸内細菌と健康
※3 厚生労働省.e-ヘルスネット 食物繊維の必要性と健康
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筆者情報
寺内麻美
管理栄養士を取得後、病院での給食や栄養管理、クリニックで生活習慣病予防のための食事指導に携わる。現在はダイエットサポートやレシピ制作、根拠のあるデータをもとに食や健康コラムの執筆などを行なっている。
文/管理栄養士・寺内麻美