あつあつのスープで温まりたい時期。より美味しいスープを手軽に手作りする方法を知っておいて損はなし! 日本スープ協会が毎年開催しているセミナーの内容から一部をお届けします。
スープの具の美味しさや栄養を逃さない方法とは?
2023年12月20日にオンラインで開催された日本スープ協会のセミナーでは、前半には東京慈恵会医科大学附属病院栄養部の管理栄養士 田端稔さんが登壇し、食材の特性を活かす方程式に基づいた、誰でも簡単に実践できる調理法が紹介されました。
その中から、今回はスープを作るときに、食材の美味しさや栄養を逃さない方法をご紹介します。
1. きのこは冷凍するとうま味がアップ
きのこには、疲労回復効果の期待できるグアニル酸とアスパラギン酸といううま味成分が含まれています。
そしてきのこは種類に関係なく、冷凍すると細胞内の水分が凍って体積が膨張し、細胞膜が破れるそう。これによって生の状態よりもうま味成分がアップするといいます。
きのこは切って小分けにして冷凍しておき、スープなどの調理に使うのがおすすめだそう。使うときは凍ったまま鍋に入れましょう。溶けた水分と共にうま味も抜け出してしまうからです。
他に、スープによく使われる食材の一つ、あさりも同様に冷凍するとうま味が増すそうですよ。
2. 里芋のぬめりは取らないほうがお得
里芋のぬめり成分である植物性粘性物質は、たんぱく質分解酵素で、魚類や肉類と一緒に摂取すると、体内で効率よく消化吸収されるそう。胃腸粘膜を保護する働きや疲労回復を促す効果も期待できるといいます。
よってぬめりは取らないのがポイント。水から皮付きのままで丸ごとゆでれば、よりふっくらした食感にもなるそうですよ。ゆで終わったら皮をむいてぬめりごとスープに入れましょう。
3. 薄切りの豚肉はゆですぎない
薄切りの豚肉は長時間煮ると、うま味のコラーゲンが煮汁に出てパサついた食感だけが残ってしまうそうです。
豚肉はさっとゆで、仕上げの段階でスープに戻すのがコツ。味が付いたスープで煮る際も長時間、グツグツ煮ることは避けましょう。
豚肉に含まれるビタミンB1は水に溶ける性質があるため、ゆで汁を活用できることから、特にスープ料理におすすめだそうですよ。
スープ作家 有賀薫さん考案! 市販スープを活用した簡単アレンジスープレシピ2選
セミナーの後半では、スープ作家の有賀薫さんが美味しさ逃さない、市販スープを活用した簡単アレンジスープレシピを紹介しました。今回は2つのレシピをご紹介します。
1品目 きのこたっぷりミネストローネ
電子レンジで袋ごと温めるだけですぐに食べられる、明治の「まるごと野菜 完熟トマトのミネストローネ」を使用した冷凍きのこで手軽に作る、繊維たっぷりのミネストローネレシピです。
【材料(1人分)】
まるごと野菜 完熟トマトのミネストローネ:1袋
好みのきのこ2~3種類(冷凍) :40g
塩 :ひとつまみ
オリーブオイル:小さじ1
【作り方】
事前に3種類ほどのきのこを手でほぐしたり切って混ぜ、冷凍しておく。
(1)小鍋に冷凍きのこを入れ、水少々と塩ひとつまみを足してふたをし、蒸し煮する。
(2)まるごと野菜をレンジで指示通り温める。
(3)(2)を皿に移し、きのこをトッピングして、オリーブオイルをまわしかける。
2品目 あさりとじゃがいものシンプルクラムチャウダー
ハウス食品のクラムチャウダーのルウ「北海道チャウダー(クラムチャウダー用)」を利用した、あさりのうまみがミルクに溶け込む、あったかチャウダーレシピです。
【材料(4人分)】
北海道チャウダー(クラムチャウダー用):1/2箱
長ねぎ: 1/2本
じゃがいも:大1個 150~180g
冷凍あさり:殻付きの場合200~250g・むき身の場合80~90g
バター: 大さじ1
水: 300mL
牛乳: 200mL(あれば)パセリ、クラッカーなど
【作り方】
下ごしらえ あさりを砂抜きして冷凍しておく。(または冷凍あさりを使用)
(1)じゃがいもは皮をむいてさいの目に切る。長ねぎはタテに切込みを入れ1cm幅に切る。
(2)鍋を中火にかけ、バターを溶かして長ねぎとじゃがいもを炒める。水300mLを加えてふたをしてやわらかくなるまで約10分煮る。
(3)鍋を下ろし、割ったルウと牛乳を加えて溶かす。
(4)再度火にかけ、あさりを加えてふたをして再度5~6分煮込む。あさりが煮えたらできあがり。好みでパセリ、クラッカーなどトッピングしても。
東京慈恵会医科大学附属病院栄養部の部長である管理栄養士 濱裕宣さんによると、あさりにはタウリンという栄養素が多く含まれ、免疫力アップにおすすめだそう。タウリンはあさり以外の魚介類全般にも多く含まれるそうですよ。
どちらもうま味をたっぷり閉じ込めた美味しそうなスープですよね。スープを美味しくする食材の工夫を行いながら、この冬、美味しいスープをいただきましょう。
Information
<教えてくれた人>
田端 稔(たばた・みのる)さん
東京慈恵会医科大学附属病院 栄養部 課長補佐。監修書籍に「その料理、つくり方間違ってます。 おいしさを逃さない『うま味』方程式」(講談社)がある。
有賀 薫(ありが・かおる)さん
スープ作家。素材の味を生かしたシンプルなスープレシピや、現代の暮らしに添ったキッチンの考え方を各種メディアで発信している。著書は『スープ・レッスン』(プレジデント社)、『有賀薫の豚汁レボリューション』(家の光協会)など多数。
<筆者情報>
椎原茜
ライター。記事を通して、読者の方々に役立つ情報を知ってもらい、ハッピーかつ快適な生活を送っていただきたいという思いで執筆中。
(C) Pixel-Shot/AdobeStock
文・椎原茜