身体が冷える季節において、温かいお風呂に入って心身ともにゆっくりと癒やされるのは至福の時間ですね。しかし、よく見るとお風呂のフタに黒いカビがついていたり、ヌメリが気になったりしませんか。「お風呂のフタって必要? どう洗ったらいいの?」といった疑問やカンタン掃除術を、掃除のプロである筆者が実践している方法と合わせて解説します。
お風呂のフタを使うメリット
お湯が冷めにくくなり、光熱費を削減できる
お風呂のフタをすると、お湯の温度をできるだけ高いままで保つことができ、余計な追いだき回数を減らせます。家族の入浴時間がずれて追いだきをするとしても、元のお湯の温度から上げる温度差が少なくなれば、追いだき時間の短縮も可能でしょう。
例えば、東京ガスの公式サイトでは、40℃の湯180Lを、4時間後に元の温度までフタ有りとフタ無しで追いだきした場合が比較されています。フタ有りは17.4円/日、フタ無しは28.5円/日と約1.6倍の差があり、フタ有りだと年間で4,039円の節約になるそうです(※1)。お風呂の保温効果をアップさせるほか、光熱費を削減するためにもお風呂のフタをぜひ利用したいですね。
湯気を広がりにくくし、カビの発生を抑える
お風呂はカビのエサとなる石鹸カスや皮脂汚れも多い場所です。お風呂のフタがないと、湯気が浴室内にずっと広がっている状態が続き、高温多湿でカビが発生しやすい環境が長くなる可能性が。特に、浴室の天井にカビが発生すると掃除も大変です。浴室全体のカビ対策にもお風呂のフタは役立つでしょう。
お風呂のフタはどれがいいの?
お風呂のフタは、シャッタータイプ、折りたたみタイプ、組み合わせタイプの主に3種類が挙げられると思います。表面に凹凸がありくるくる巻くシャッタータイプは、コンパクトに巻き取れるため収納場所を取りません。折りたたみタイプも同様に、一枚ずつを重ねて折りたためるので、狭いお風呂にもピッタリ。ただ、筆者は両方とも使ったことがありますが、どちらも凹凸の溝や継ぎ目部分にいつもカビが発生しやすく、黒ずみや落ちないカビにとても苦労しました。
現在は筆者宅では、3つの板状のフタを並べて使用する組み合わせタイプを使用しています。表面がフラットなので、掃除がとてもラク! 専用ラックに立てかけるだけで乾きも早いため、購入から一度もカビは発生していません。
組み合わせタイプはお風呂のサイズに合わせて2枚組と3枚組がありますが、できれば3枚組をおすすめします。アルミ製のものが多く、2枚組だとかなり大きく重たいと感じることもあるため、小学生くらいの子どもが一人でフタを外すのは少し難しいものもあるかもしれません。
筆者宅では、『山崎実業』の「乾きやすいマグネット風呂蓋スタンド タワー」に収納しています。マグネットで壁に付けることができ、床から浮かせられるので、フタの側面にヌメリがつきにくいです。フタの間に隙間を空けて収納できることから、フタの表面が早く乾いて掃除もグンとラクになりました。保温性や掃除の手軽さを考えると、組み合わせタイプが大正解! と実感しています。
お風呂のフタの掃除頻度とカンタン掃除方法
週1回はフタのこすり洗い
浴室用中性洗剤を吹きかけて、フタの表面をスポンジでこすり洗いします。溝や継ぎ目の部分は、掃除用ブラシや歯ブラシを使ってこすってみましょう。100均にあるお風呂用ブラシは、先がとがっているものが便利です。凹凸のある部分にも届きやすく、コシのあるブラシで細かい部分もしっかり汚れを落とせます。最後に洗剤を洗い流して、全体が乾きやすいよう立てて置いておきます。
月1回は継ぎ目部分のカビ取り掃除
洗剤でこすり洗いしても落ちない頑固な黒い汚れは、プラスチックや継ぎ目に根を張ってしまった黒カビが原因。中性洗剤で落としきれない黒カビは、「強力カビハイター」や「カビキラー」などの塩素系洗剤で対応します。
泡状の塩素系洗剤は吹きかけても時間が経つと流れてしまうため、上からラップでパックをしておくと薬剤がカビにしっかり密着します。30分ほど時間をおき、すすぎ残しがないよう水でしっかり洗い流しましょう。一回の掃除で黒ずみが落としきれない場合は、もう一度行ってみてください。
塩素系漂白剤を使用する際は以下の注意点も守ってくださいね。
- マスクとゴム手袋を使用する
- お風呂場の換気をしっかり行う
- 酸性タイプの洗剤と絶対に混ぜて使用しない
- しっかりと水で流す
毎日気を付けるカビ予防
お風呂場のフタは重なったままだと湿った状態が続き、ぬめりやカビが発生しやすくなります。お風呂から出る際は次のポイントに注意しましょう。
- 50℃のシャワーをかけてカビの成長を防ぐ
- 入浴後はすぐに浴室乾燥機を回し、長時間湿気が溜まらないようにする
- シャッター、折りたたみタイプは、丸めたままにならないよう広げて干す
カビ菌は50℃以上のお湯でほとんどが死滅するといわれています(※2)。お風呂を出る前に高温のシャワーをかけておくと、お風呂のフタについた石鹸カスや皮脂汚れを洗い流し、カビの抑制にもつながります。
まとめ
お風呂のフタは大きくて掃除がしにくいため、「黒カビがついたときにどうすればいいかわからない」「買い替えたいけれど、掃除が面倒なのは同じなのでは」と感じている方もいらっしゃるかもしれません。筆者の経験では、組み合わせタイプが一番手入れがラクでした。しっかり乾燥させる、定期的にカビのエサになる汚れを落とすなど、日々の対策をしていると繰り返しカビに悩まされることも少なくなると感じています。
お風呂のフタの気になるカビはしっかり掃除して、清潔な浴室内でゆっくりとお風呂に入って心も体も気持ちよくリラックスしたいですね。お掃除方法をぜひ参考にしていただけるとうれしいです。
【参考】
※1 東京ガス.ウルトラ省エネブック「バスルーム・トイレを使う」
※2 文部科学省.カビ対策マニュアル 基礎編
筆者情報
のぞみ
シンプル志向の整理収納アドバイザー・ライター。クリンネスト1級。「暮らしもこころも かろやかに」をテーマに、ものとじぶんとゆっくり向き合える、続けやすい暮らしのちいさな仕組みを提案しています。Instagram@non.karoyakani
文/のぞみ