「寝てるのに眠すぎる…」はヤバイ?【睡眠のプロに聞く】春の眠気を解消する4つの方法 – 文・ 松浦志野 | anan Beauty+

Wellness

寒さも和らぎ、ポカポカ陽気とともについひと眠り…。なんだか眠くて眠くてたまらないという経験がある方も多いのではないでしょうか。実は眠りの観点からいうと、春は眠りにくいシーズンとのこと。その理由と対策を東京都江戸川区で個人の睡眠カウンセリングも行っている睡眠のプロ、松浦志野さんにうかがいました。

春になるとなぜか眠くなる3つの理由

「春眠暁を覚えず」というように春は眠くなるイメージがありますが、それには理由があります。主な理由は以下の3つです。

1.激しい寒暖差
春は1年の中で最も寒暖差の激しい季節。日中はポカポカ暖かくても朝晩は寒い日があったり、昨日は暖かかったのに今日は真冬のような寒さの日もあります。寒暖差に身体はついていけず、自律神経の乱れが起こりやすい時期です。自律神経は活動モードの時に交感神経、リラックスモードの時には副交感神経が優位となります。寒暖差はこの自律神経に大きく影響を与え、カラダのバランスを崩して夜に眠りにくくなったり、昼間に眠くてたまらないといったことが起こります。

2.アレルギー症状
スギ・ヒノキ花粉やPM2.5、黄砂などアレルギー症状の原因となる物質が大量に飛散します。鼻詰まりやくしゃみ、のどのイガイガ、目や肌のかゆさといった身体にかかるストレスにより眠りにくくなります。最近では眠くなりにくいアレルギー薬も出ていますが、副作用によって日中の強い眠気を感じる方もいるでしょう。

3.環境の変化
春は入学、入社、異動といった慣れない環境や、初めての人と関わることも多い季節。気が張り、緊張しやすい状況が続きます。環境の変化による疲れやストレスは心身に大きく影響を与え、リラックスしにくくなり眠りにくい状況に。

つまり、睡眠がきちんととれていないために眠くなるのが、春という季節の特徴なのです。

メンタル不調にも繋がる春の眠りにくさ

このように春の睡眠は浅くなる傾向がありますが、睡眠不足が与える影響にはメンタル不調もあります。

春になると日照時間が長くなり、日の出は4月上旬で5時15分頃、日の入りは18時頃になります。体内時計は日光を浴びることでリセットしますが、日照時間が長くなることで、体内時計もずれやすい状態になります。体内時計と自律神経は相互関係があるため、体内時計のズレにより自律神経のバランスも乱れていきます。交感神経が優位になり、イライラしやすくなったり落ち込みやすくなるといった情緒の乱れ、喜怒哀楽が激しくなり、理性でコントロールできなくなり感情的になりやすくなるなどネガティブな気持ちになりやすくなります。

春の睡眠改善方法4選

睡眠がとりにくい時期とはいえ、毎日快適な朝を迎えて、仕事に勉強に心にもパフォーマンスアップをしたい! そのための睡眠改善ができる4つの方法を紹介します。

1.光に気をつける
眠りにおいて大事なキーワードは「光」。朝起きて日光を浴びることで体内時計がリセットされます。強烈に脳に「朝だよ!」と伝えるためには起きたらカーテンを開け、まずは1分間日光を浴びましょう。深部体温が上昇して覚醒度アップ! この時は、太陽の光は直接見ないようにしてください。
就寝直前までスマホやパソコンを見ているかたは、これを機に就寝30分前からは見るのをやめましょう。ブルーライトが与える影響はカフェインよりも強いことは有名な話!

2.香りを味方につける
嗅覚はダイレクトに自律神経に働きかけます。ただ、香りは1日中平等に効果があるわけではなく、17時以降に効果が高くなるということが研究でわかっています。
オススメはラベンダー、ベルガモット、カモミール、ヒノキ、オレンジといった天然精油がいいでしょう。単体の香りが苦手な方はブレンドするのもいいでしょう。

3.お昼寝をする
お昼寝の効果は集中力アップ、作業効率上昇、疲労回復といった効果があります。お昼寝は昼食後から15時までの間に10~20分行うようにしましょう。15時以降のお昼寝は夜の睡眠に影響を与えます。また、横になってしまうと深い睡眠が得られてしまうため、こちらも夜の睡眠の質に大きく影響を与えます。そのため、椅子に座って体をテーブルに預けて眠ったり、ソファの背もたれに体を預けるようにするのもいいでしょう。

4.入浴をする
身体を清潔にするだけでなく、リラックスするには入浴は最適の方法。温熱、浮力、静水圧の効果により、血行促進、美肌、むくみ解消、疲労回復につながります。基本は40度のお湯で15分。浴槽の中で深呼吸をしてみましょう。ぷか〜と浮力を感じることで身体の力が抜けやすくなります。

睡眠の質が知りたければ、脳波測定が必要

なんとなく眠れていない、朝すっきり起きられない、何度も夜中に起きるといった課題があるかたは、一度睡眠の質を調べてみてもいいかもしれません。

睡眠専門の機関では、自宅でも簡易的に脳波測定できる機械もあり、眠れていると思っていても実は眠れていなかったということを、客観的にたった2日ほどで確認できます。
脳波測定の結果をもとに生活習慣のヒアリングや自律神経の調整方法、入浴方法、呼吸法、睡眠環境などを提案して、睡眠改善のカウンセリングを受けられるところもあります。

睡眠は個人差があるものです。睡眠をないがしろにせず、毎日素敵な人生を送りたいものですね。

【参考資料】
『不美人習慣を3日で整える熟睡の練習帳』小林麻利子著(株式会社G.B)
『ニュートン超図解新書 最強に面白い 睡眠』(株式会社ニュートンプレス)

筆者情報

松浦志野
健康と眠りのスペシャリスト。眠りとお風呂の専門家・小林麻利子さんに師事している。埼玉県出身。看護師、SleepLIVE公認カウンセラーとしてひだまり by SleepLIVE主催。1児の母。看護師として多くの睡眠に悩む患者さんと関わり、不規則な生活や睡眠不足といった自身の経験から、同じような悩みを持つ人を助けたいという思いで小林に師事。現在は日本初のマンツーマン&対面の睡眠改善カウンセリングを行い、赤ちゃんから大人までの熟睡を導くサポートをしている。

(C)hikari_stock/AdobeStock

文・ 松浦志野

https://plus.ananweb.jp/wellness/100011/

タイトルとURLをコピーしました